仕事を持つ女性にとって、重要なのは安心して子を預けることができる保育園の存在です。

しかし、1986年に始まった男女雇用機会均等法をきっかに、仕事を持つ女性が増え、1990年ころから首都圏を中心に、保育園入園を希望する子の数と、幼稚園入園を希望する子の数が逆転するという現象が起こります。

幼稚園の施設に対し保育園の役割をという取り組みが始まり、2006年内閣府を中心に「認定こども園」の制度が始まります。

その後、従来の認可保育園だけでなく、地域型保育なども始まり「企業型保育園」というものも作られました。しかし、保育園を開設することで最も重要なことが「給食」です。

保育園の給食

保育園の給食

乳幼児に給食を提供するために

子どもは年齢に合わせて必要とする「栄養」が違います。特に乳幼児期の子どもによって、日々必要とする栄養素の量が変化していきます。

可能であれば、開設をする時に職員の中に「管理栄養士」を置くことをお勧めします。

管理栄養士は、企業の他に全国の自治体で小中学校の学校給食、病院や介護施設の食事、保育園や幼稚園の給食の栄養指導や献立作りをしています。

しかし、公立学校の学校給食が自校性といって、「学校内に給食室」を有する学校も多く、ほとんどの自治体で管理栄養士が不足しています。

保育園の存在は、仕事を持つお母さんにとって、仕事中自分に代わって育児をしてもらう大切な場所です。その中には安心して美味しい食事を提供してもらう、ということも含まれています。

給食を提供するといことは、ただ「食事」を与えればいいというだけでない、といことを考えなければなりません。

保育園の献立の決め方

保育園の給食で大切ことは、1歳未満の乳児の月齢別、1歳児以上の子どもの年齢別の献立を立てる必要があることです。

小中学校の献立でも、同じ自治体の「給食センター」が提供するメニューでも「低学年」「中学年」「高学年」「中学生」と量や中身を変えています。

子どもは、わずかな差でカロリーや、五大栄養素の必要量が違ってきます。

また、租借の力も違いますので、それに合わせて食材の大きさを変えたり、味付けを変えます。

子どもの身体の大きさと栄養素の目安

子供の成長

どんなに小さな子どもでも個人差があります。健康に成熟して生まれた新生児の身長や体重も、大きい子どもと小さい子どもでは、身長で5c~10m、体重でも2kgくらいの差があります。

しかし、保育園の給食は、家庭で母乳や離乳食を提供するのではないため、平均値で献立を立てていきます。

それでは、平均値の身体は一体どれくらいでしょう。

 
月齢・年齢 身長(cm 体重(kg 身長(cm 体重(kg
05カ月 61.5 6.3 60.1 5.9
68カ月 69.8 8.4 68.3 7.8
911カ月 73.2 9.1 71.9 8.4
12 85.8 11.5 84.6 11
35 103.6 16.5 103.2 16.1
67 119.5 22.2 118.3 21.9

2018年現在、平均的な身体の大きさは表のようになります。

平均値を元に、推定エネルギー必要量と、五大栄養素の必要量が計算されています。保育園で提供される給食は、算出された量から3回の食事、間食を考えて、1回の食事の献立を考えていきます。

1日当たりの食事摂取基準
  たんぱく質(g) 脂質(g) エネルギー(kcal   炭水化物
月齢・年齢   母乳・ミルク 離乳食    
05カ月 12.6 12.6   35.6 550 500
68カ月 16.7 10.6 6.1 カロリーの2030%(19kcl) 650 600 カロリーの57.5%(14kcl)
911カ月 27.1 9.2 17.9 700 650
12 20 950 900
35 25 1300 1250
67 3035 1550 1450

バランスと間食

小中学校になると、3回に分けてとっても、ほとんど1日分の栄養を摂ることができます。しかし、5歳以下の乳幼児は、1回の食事で充分に一日の3分の1分を摂ることができません。

そのため間食が必要です。

保育園では、乳児では月例に応じて分ける回数が異なります。

しかし、ほとんどの親は1歳~2歳まで育児休業を取っていることが多く、離乳する前の乳児でも、半年よりも前という子どもを預ける親は、かなり少なくなっています。

そこで1歳未満であれば、ミルクと離乳食の回数を考えて献立を作成します。

また、1歳以上であれば、間食を入れて5回に分けた食事を考えます。とはいえ、間食は食事ではありませんので、主となるのは3回の食事、そして2回の間食で不足分を補う、といったものにします。

乳幼児の給食作りの注意点やルール

給食作りのルール

保育園で提供する給食で、注意すべき点は大きく分けると3つになります。

まず1つ目は、提供する時の献立の内容です。

2つ目は、食べる時のマナーも指導する必要があることです。

そして、3つ目は安全管理です。

保育所における食事の提供ガイドライン - 厚生労働省

献立で注意する点と食材選びのルール

栄養のバランス作りの時に、管理栄養士がいない場合、栄養士が考えることになります。

一番分かりやすい献立の作り方は、「白・黒・赤・緑・茶・黄」の色になるように食材を考える、ということです。

白はご飯やパン、麺といった主食になります。

黒は海苔やワカメなどの海藻やゴマ、豆などです。

赤はトマトやにんじん、いちごなど赤い色素の濃い野菜や果物を入れましょう。

緑は野菜です。特に葉野菜は必ず入れるようにしましょう。

茶は肉類、魚類のたんぱく質食品です。

黄は卵、コーン、バナナなど色々なものが考えられますね。

また、同じ食材ばかりだと子どもは飽きてしまいます。食材選びにルールを設けると、献立作りが簡単になります。

何曜日は和食中心の日、何曜日はカレーの日といったことです。

1歳を過ぎたら、間食も必要です。

しかし、保育園に通う子どもたちの中には、親が忙しく仕事に追われているため、帰宅した後も、スナック菓子や飴などのおやつを与えられていることもあります。

幼児の間食は食事では不足する栄養素を補うためのものです。果物や焼き芋、手作りのおやつ、例えば「スイートポテト」「プリン」など、ビタミンやたんぱく質・無機質が摂れるものにしましょう。

保育園で提供する間食は給食と一緒です。できるだけ市販のおやつをそのまま与えない、というルールを作ることも大切です。

栄養素で考えていくと、なかなか難しい時は、こういった点に注意して献立を作ることもできます。

そして、この時に最も難しく、気を付けなければいけないのが「食物アレルギー」です。

気を付けたいアレルギーとなる食材

1990年代以降、食物アレルギーの子どもは、増える一方です。中には主食となる「小麦」のアレルギーの子どももいます。こういった場合は、主食そのものを変える必要があります。

小麦アレルギーの場合は、パンや麺をすべて「米粉」を利用したものに変えなければいけません。それでは、現在「アレルギーの原因」として認定されている食材にはどんなものがあるのでしょうか。

現在、表にある全27品目が「アレルギーの原因」となる食材として表示が決められています。しかし、この中に含まれないものもあり、中には「米」に対してアレルギーを起こしてしまう子どももいます。

また、普段は何ともないのに、季節の変わり目や体調が悪い時、と時と場合によってアレルギーを起こす子どももいます。

中にはメーカーによって大丈夫なものと、アレルギーを起こしてしまうものがあるなど個人差があり、アレルギーに関しては他の子どもと分けて考えなければなりません。

献立作りで他に注意する点

小さい子どもたちは、免疫力も低いためちょっとしたことでも感染したり、お腹をこわすこともあります。食材選びも新鮮なものを選ぶ、ということも大切です。

また、見た目が悪いと食べないという子どももいます。きれいに、そしてバランスよく、新鮮な旬の食材で、献立を作ることが大切です。

保育園で提供する給食の献立作りは、ただ栄養素のバランスだけを考えるのではありません。様々なパターンを考えて、献立を作りましょう。

給食を提供する時の注意とルール

保育園で提供する給食は、ただ食べるだけでなく、家庭に変わって食べる時のルールやマナーなどを身につけさせる必要があります。

食事マナーを身につけさせる

食事は楽しいもの

離乳食の乳児の場合は、どうしても「遊び食い」をしてしまいます。そんな時に、食事に集中できるような環境も大切です。

他にも、お腹が空いていなければ、食欲もわきません。食事をただダラダラ食べさせるのではなく、食事の間にしっかりと身体を動かし、食事の時間にはきちんと食事を摂る、という習慣を身につけましょう。

3歳ころからは、食事のマナーを身につけさせることも大切です。みんなでそろって、一緒に食べることで、食事が楽しいものであることを学ぶことも必要です。

中学生くらいの子どもの中には、野菜が嫌いで全く食べられない、食べることに興味がないという子もいます。

食習慣は幼児期に身につくものです。保育園の給食で、しっかりと食べることは楽しいと知ってもらいましょう。

衛生的な習慣とルール

衛生的な習慣をつけることも必要になります。

食事の前の手洗いやうがい、食後の歯磨きなども、みんなと一緒にやることで、「保育園の給食タイム」でしっかりと身につけることができます。

特に年齢が小さいほど、ちょっとした菌でも感染することがあります。あまり神経質になりすぎるのも問題ですが、食事を摂る時、間食をする時は、しっかりと手洗いうがいは、必要です。

そして、食べた後は必ず水や麦茶などを飲む、というルールを作ってみましょう。歯磨きも大切ですが、食事と一緒に「甘い飲み物を飲む」という悪習慣がついてしまうと、虫歯だけでなく、食事そのものへの弊害になります。

必ず「水・麦茶」を飲むことで、食べたものを口の中から身体の中に流す、という習慣を身につけると、虫歯予防にもつながりとても良いです。

給食の前の手洗ううがいをする順番、といったルールを作るのも良いですね。

役割分担

年長になったら配膳のお当番、食べた後の片付けなどにも、しっかりとルール作りをしましょう。

何もかも園の先生がただやってあげる、のではなく3歳児を過ぎたら徐々に学ぶ年齢になります。

特に「役割分担」ができるようになる4歳児くらいからは、上手に誘うことで楽しみながら「お当番」をする子どもが増えます。5歳を超えたら学校へ行くための準備期間になりますので、給食のルールを学ぶ、ということも大切です。

小規模の保育園は、集団そのものが小さいため、学校に上がると周囲と上手くできない子もいます。可能な限り、年齢に合わせた集団の中での役割を学ぶ機会を与えてあげて下さい。

給食を提供してみよう

それでは、いよいよ子どもたちに給食を提供してみましょう。

献立作り

今までのことを考えて、献立を作りましょう。

学校と違い、保育園には長期休暇はありません。学校給食では夏休みや春休みを利用して、管理栄養士が学期ごとの献立を作ります。

保育園の給食は、長期休暇がないため、コマメに献立作りをする必要があります。

4~5歳児の子どもの例

  • 主食 三色ご飯(米・鶏ひき肉・さやいんげん・卵)
  • おかず ポテトサラダ(ジャガイモ・きゅうり・ツナ・レタス・プチトマト・にんじん)
  • おかず ほうれん草の胡麻和え(ほうれん草・すりごま)
  • バナナ 1/2本
  • 味噌汁 (豆腐・ワカメ・味噌)

準備

できたものを配膳用の台に並べます。

ご飯はあらかじめ、1人用の茶碗に入れて上から具をのせておきましょう。

おかずは、子ども用のプレート皿を使って、3つにきれいに盛り付けます。

味噌汁は椀に盛り付けます。

子どもたちに手洗い、うがいをしてもらい、席についてもらいます。

お当番の子どもに、お盆を持たせて、それぞれの配膳を手伝ってもらいます。失敗しても良いようにあまり盛り付け過ぎないようにします。

子どもが箸で遊んだり、先に食べてしまわないように、先生は1人子どもたちについていましょう。

箸やスプーンは最後にお当番の子どもと配ります。

実食

食べる前に「いただきます」の挨拶をします。箸がうまく使えない子どもには、箸の使い方を学ばせるのも給食の役割です。

また、箸の使い方で「やってはいけないこと」を知るのも大切です。家庭に高齢の人がいるとコマメに注意されることもありますが、最近はあまり気にしない家庭も増えています。

しかし、それが習慣になって大人になってから困るのは、子どもたちです。

箸使いのルール

「ねぶり箸」「箸わたし」「そら箸」「箸わたし」「まよい箸」「刺し箸」「指し箸」などマナーに反する箸の使い方があります。理由はまだ難しいかもしれませんが、「それはやってはダメよ」と注意してください。

片付け

体調などの理由がない場合は、できるだけ完食するようにします。そのためにも、配膳の時には、少なめに盛り付けることも大切です。

お当番はお片付けも、手伝うようにします。

その間に歯磨きをしましょう。お当番の子どもは一番最後になりますが、お手伝いをしたことを「ほめて」上げましょう。

まとめ

保育園の給食は、ただ食べるだけのものではありません。子どもが成長する中で、食事の役割を学ぶためのものでもあります。健康を維持する、成長に必要な栄養を摂取する、生活リズムを整える、食事のマナーを学ぶなど、様々な役割があります。

献立はもちろんですが、一番大切な乳幼児に提供する「給食」です。

皆さんの保育園で育った子どもたちが、どんな世界に行っても恥ずかしくないような給食を提供してあげて下さい。

保育所における食事の提供ガイドライン【分割版】 - 厚生労働省

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